中古車だからこそ、品質にこだわります
———中古車販売店を経営していて、ここは譲れない!っといったこだわりはありますか。
社長(以下、社):そうですね、仕入れにも相当こだわりがあって、必ずオークション会場に足を運びます。
———社長自らオークションに行かれるのですか。
社:もちろんです。中古車は新車と違って1台として同じものは存在しませんから、生で見て感じて判断したいんです。
実は、最近は仕入れの悩みがあるんです。仕入れる台数を決めて会場に行くのですが、納得できる車両がないと仕入れが「0」ということもザラにあるので、なかなか満足のいく仕入れができないときもあります。
そんなときに失敗したことがあって。
———それはどういった失敗だったのですか。
社:忙しい時期だったのですが、どうしても車が足りなくて、車両を見ないで仕入れてしまったことがあったんです。写真やオークション情報ではすごくいい車だったので間違いないだろうと仕入れたところ、見た目は綺麗、内装も綺麗。でも車の根幹である「走る」という部分でいくとこれでは走らせるのは少しまずいという状態の車がきてしまったのです。売りに出したらすぐに売れてしまうんだろうなという車だったんですが、当店のクオリティではこれは売れない。「売らない」と。
———そんなにいい車だったのに売らないんですね。
社:そうなんです。プライスボードもかけていないですから。もうこれには懲りました。
見ないで仕入れるとこうも後悔するものかと。
———たとえ納得のいく車でなかったとしても売ってしまう車屋さんもありそうですよね。
社:それはそれで、その車を購入したお客様が理解したうえで乗られるのであれば、お店にとってもお客様にとってもいいのかなとも思います。ですが、「納得のいく品質ではないのに売ってしまう」ということが常態化すると、売る側のモチベーションが保てません。ここは信念を持ってやっているので。
車は機械ですから、何があるかわかりません。
そこで車を販売するものが最も忘れてはいけないことが「車はお客様の命を乗せている」ということです。
これはもう大前提です。ですから、当店では納得のいく車の状態でなければ売らないですし、整備がしっかりできていない状態では納車できません。
車の販売は総合職ですので、車の知識・装備の知識・保険の知識…整備だけではなく、車の販売にかかわるものはすべて「命」に直結しますから、ミスが許されない。保険の提案だってひとつ間違えると大変です。
たとえば息子さんが事故を起こしてしまっても提案のミスで保険が下りないなんてこともよく聞きます。
———メカニックの石川さんも同じ趣旨のことをおっしゃっていました。
お店まるごとがそういう意識なんですね。
社:特別に何か指示したり会議したりしているわけではないんですけどね。少人数ですから、一人一人の力がとても重要です。みんな、その場所での責任を果たそうと必死なんですね。
それに私の求める品質・基準または水準というものがみんなに浸透しているので、そういう意味では、私も常に成長しなければならないと思います。
———常に成長。具体的にはどんな変化がありますか。
社:そうですね。たとえば「仕上げ」。シートクリーニングにしてもコーティングにしても年々進化しています。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、5年前にご購入いただいたお客様と今買ってもらったお客様とでは全然仕上げが違います。
———車を買うたびに何かが進化している。リピート購入が多いことも納得ですね。
社:リピートされるためには選ばれるお店にならないといけない。お客様に喜ばれ、好かれる、気に入られるお店にならないといけない。だから妥協なんてできないですよね。